大分建設新聞

四方山

サル

2023年04月04日
 「〝猿JOY〟して70周年」。毎日新聞3月27日付けの県版記事の見出しに思わず口元が緩んだ。大分市の高崎山自然動物園で開かれた開園70周年の記念イベントの模様を伝える記事だった。動物園とはいえ「自然」の看板に偽りはなく、オリなどはなく、野生の生態を観察できるのが特徴だ▼実は開園前まで、高崎山のサルは、畑を荒らすだけの厄介者だった。それを逆転の発想で観光資源に変えたのが、当時の上田保市長。その狙いは当たり、ほどなく全国的な観光名所となり、サルの方も飢えから開放された。言ってみれば、それこそ人間、サルともにウインウインの関係を築いた▼記紀伝説の「天孫降臨」に「猿田彦」という神が登場する。天上の神々が地上に降り立つ際、案内役を務めた。その名の通り、サルのような面相をしていたとされる。いにしえの人たちは、人間と似たサルに不思議な力が宿っていると見ていたのかもしれない。野党のホープとして注目されていた立憲民主党の小西洋之参院議員の突然のつまづき。サルの霊力は衰えていなかったよう▼小西氏といえば、放送法の「政治的公平」をめぐり、総務省の内部文書をもとに、当時の総務相の高市早苗・経済安保担当相を厳しく追及していたはずである。ところが会見で、衆院憲法審査会の議論の進め方に関して「サルのやることだ」とこき下ろしたことから、今度は自身が火だるま状態に。サルの呪いである▼だが、問題の本質は別のところにある。自身の発言を批判的に報じた放送局を名指しして、ツイッターでどう喝するような発言を投稿していた。それこそ「政治的圧力」であろう。高崎山には三つの群れがあったが、最近になって一つは消滅したと指摘される。群れのサルから見放されたのであろう。立憲にとっては笑えまい。(熊)
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