古き良きノーヘル時代
2023年04月03日
1日から改正道路交通法の施行により、自転車に乗るすべての人のヘルメット着用が努力義務になった▼大分県教育委員会は2021年の4月から県立の高校と特別支援学校の自転車通学の生徒にヘルメットの着用を義務付けた。当時、一斉義務化は全国で2県目ということだった。そうは言っても守らない生徒が多いのではと思っていたが、見る限りでは注意されている生徒は見かけず、皆ヘルメットを着用していた。良い意味で驚いたが、ほぼ全ての中学校で義務化されており慣れていること、女子にもカッコ良いヘルメットが販売されていること、そして何よりも義務化なので周りも皆着用することが相まってスムーズに着用が浸透したと思った▼しかし、県立高校が義務化され私立高校も追従したなかで、成人している人でヘルメットを着用していない人が目立った。歩いていてもクルマを運転していても、スポーツタイプの自転車に乗り異常なスピードで走行する成人と、まっすぐ走行することもおぼつかない高齢者に怖いなあという思いを抱いていた▼警察庁によると、昨年までの5年間に自転車事故で死亡した人は2005人で、その約65%は65歳以上の高齢者だ。昨年の自転車の交通事故の死傷者で、65歳以上のヘルメット着用率は3・6%で、全世代平均の9・9%より大幅に低い▼数字で見ると高齢者こそヘルメットを着用すべきだが、高齢者の中には、人生でバイクや自転車に乗る時にヘルメットを着用したことのない人が多いという事情もある。それは、原付も含めた全てのバイクが全ての道路でヘルメット着用が義務化されたのは1986年で、それ以前の古き良きノーヘル時代は、気持ちよく単車を乗り回した。不自由には同情するが、義務化しなければ高齢者の着用率は上がらないだろう。(リュウ)