大分建設新聞

四方山

知事選

2023年03月28日
 20年ぶりに新人同士の一騎打ちとなる知事選が告示された。大物国会議員が続々と大分入りするなど、県内は選挙ムード一色に染まろうとしている。陣営の司令部となるのが選挙事務所である。「祈必勝」などと大書された「ため書き」が、壁一面に張られているのが定番だ▼もう一つ欠かせないのが「必勝だるま」。転んでも倒れないだるまは、長年親しまれてきた縁起物だ。壁に向かって9年間座禅を組んだという達磨大師が由来で、一念岩をも通す決意で選挙に臨む候補者にはピッタリというのであろう▼選挙通に言わせると、マナーがあるらしい。目を描き込む際、墨を垂らしてはならないというのが鉄則だとか。確かに必勝の決意を披露する事務所開きで、祈願の目を入れる際に、こぼれる墨が黒い涙目になってしまっては台無しである。最近では墨汁が垂れにくい専用の筆も用意されているという▼どっしりと置かれた必勝だるまのごとく、知事選にあたって微動だにしないのが大組織の連合大分と、国政野党第一党の立憲民主党県連である。連合大分が「連合大分との関係は(両候補とも)優劣をつけがたい」(朝日新聞2月28日付県版)という幹事会の議論を受けて自主投票の方針を決めれば、立憲県連の吉田忠智代表は「(2人の資質は)甲乙つけがたい」(毎日新聞3月5日付県版)と語り、これまた自主投票を打ち出した▼「優劣」に「甲乙」。ともに微妙な言い回し。事前に打ち合わせたのではないかと勘ぐりたくもなる。連合と言えば、芳野友子会長が自民党との関係構築に熱心だと伝わる。知事選という大一番の選挙に統一した態度を打ち出せないのも、それが影響して…というのは邪推というものだろう。だが、両組織の必勝だるまの目からは、冷や汗がしたたり落ちているようだ。(熊)
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