大分建設新聞

四方山

サクラサク

2023年03月20日
 久しぶりに商店の客足も回復基調で、和菓子屋では彼岸らしく店頭におはぎがところ狭しと並んでいる。彼岸といえば、農耕中心の生活だった日本人は、農作物の作付けや収穫の年間の農作業のスケジュールを細かく考え、二十四節気を生み出した▼今年はその春分の日辺りにサクラが満開になる地域もあるようで、記録的な早さに旅行業界もあわてている。サクラの名所へのツアーは急がないと間に合わないからだ。バスの手配、人の配置に追われており、うれしい悲鳴とはこのことかもしれない▼サクラは単純に気温が上がるだけでは蕾を開かない。冬の寒さを耐え忍んだ先に訪れる暖かさに開花する。昔よく使われた「サクラサク」という電報は、まさに受験勉強の延長線上にある成果を日本人らしく表している。人生も同じで、成果から得られる喜びは、努力を重ねた者ほど大きく、その過程で経験したことが血となり肉となる。会社の仕事には、花咲か爺さんを呼んでパッと結果を出してはいけない▼私が社会に出た40年前はサクラの花見というと4月初めの行事で、場所取りは新入社員の仕事だった。しかし、サクラの花が4月までもたないとなると花見は3月中に済ませなければならず、場所取りに行かせる新人はまだ入っていない。サクラの開花が早まって右往左往するのは旅行会社だけではないなあと案じたが、案ずることはなく前職では職場の花見はとっくに無くなっていた。今の時代、就業時間中に業務命令で花見の場所取りに行かせるわけにはいかないし、そもそも職場の花見の出席率も低い。自前でシートを準備して後片付けをすると、若手から不満が出ていたのを思い出した▼しかし、今ではそこに目をつけて、準備から後片付けまでやってしまう飲食業者がある。サクラの下も金次第、業者はサクラサクだ。(リュウ)
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