大分建設新聞

四方山

怒らない

2023年03月17日
 先日、ある祝賀会に出席すると、座ったテーブルで「社長が怒っているのを見たことがない」という言葉が交わされていた。何があっても常ににこやかに落ち着いて話を聞いてくれるという。また、ゴルフがとても上手だという。なるほど、ゴルフは同伴者のプレーに感化されず連鎖しないで自分を見失わないプレーをしなければならないスポーツなので、笑顔でグリーンを回る社長が想像できる。実は、私は社長を存じないが、このテーブルで交わされる逸話から人柄を知ることができた▼前職では、リーダーになると受ける研修で「怒るのはリーダーとして失格だ」と教えられた。なぜなら怒っても相手が良い方向に変化しないからだ。つまり、組織として成果も上がらないし前進もしない。昔は私もよく怒鳴ったが、確かに怒鳴っても何も改善はしなかった。怒鳴られた人を、普段から嫌っている人が喜ぶぐらいのことだ▼怒るといえば、子どもがうるさいと怒る輩も多い。長野県長野市の公園では、一部近隣住民の「子どもの声がうるさい」といった苦情をきっかけに注意書きが多くなって利用者が減り、ついには廃止になった。人にはいろいろな事情があり、子どもの声を受け入れられない人もいるだろう。だが、それが注意書きの乱発や公園の廃止につながることはあまりにも寂しい▼「今の若い者は」と怒る大人も若い頃は褒められてばかりではなかっただろう。子どもを怒る大人がいることも、大人に怒られる子どもがいることも、むしろそれはごく自然なことだ。大切なのは怒った後のフォローだ▼子育ても社員教育も時代に沿って変化しなければならない。怒鳴り声が飛び、近寄りづらいこわばった顔をする上司のいる職場は遠い昭和の思い出だ。昭和の社長が令和に笑顔で人を寄せている姿を見た。(リュウ)
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