大分建設新聞

四方山

脱マスク

2023年03月14日
 「目は口ほどにものを言い」という。なるほどその通りなのだろう。けれども、マスク姿が当たり前になっている令和の時代、人間らしい感情が出るのは口元ではなかったかと、思うことがしばしばだ。「小鼻をふくらませる」「口角泡を飛ばす」「頬を緩める」「唇を噛む」……▼もっぱらマスクで隠れている鼻から下の部分に、喜怒哀楽が宿っているような感じもする。そう考えると、マスクというのは、感情を隠す効用もあると見える。「口は災いの元」ともいうが、覆っているからこそ、ついついホンネがこぼれてしまったのかもしれない。東日本大震災から12年の3月11日、福島県相馬市の子育て支援施設を訪れた岸田文雄首相である▼子どもたちとの対話に臨み、中学生から寄せられた「どうして総理大臣になろうと思ったのか」という質問にこう答えた。「総理大臣、一応、日本のその社会の中で一番権限の大きい人ということなんで、総理大臣を目指した。そういったことです」。単純明快。やりたいことがあったからではなく、その地位につきたかっただけ、とも聞こえる▼これに早速反応したのが、うるさ型で知られる兵庫県明石市の泉房穂市長。「〝一番権限が大きい〟ということは、〝一番責任が重い〟ということも自覚はしていただきたい」とツイート。その岸田首相、マスクの下では「口をへの字に曲げた」のか、それとも「舌を出していたのか」▼13日からマスクの着用が個人の判断に委ねられ、長かった「マスク時代」の出口がようやく見えてきた。商業施設では緩和の動きがある一方で、一部施設ではマスク着用が推奨されるなど、混乱も生じよう。だが、3年続いた異常事態からようやく「脱マスク」に向かうことを素直に喜びたい。もちろん、口元を引き締めて、である。(熊)
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