大分建設新聞

四方山

社会で恐れる順番

2023年03月10日
 「地震・雷・火事・おやじ」と言う。最近の若い人たちからは、あまり聞かなくなった言葉だ。最も社会で恐れられている順番を表現したものだろう。その語源は、はっきりしないが少なくとも江戸時代後期には使われていたとの事である。地震や雷は今も自然の脅威であるし、火事は人為的な発生原因が最も多い(中には自然的な発生もあるが)▼2016年4月14日(午後9時26分)・16日(午前1時25分)の両日に熊本地震が発生し、県内でも由布市や別府市を中心に多くが被災した。また、昨年1月22日午前1時8分に日向灘地震が発生、県内では大分、佐伯、竹田市で震度5強を観測した。ここ数年で大きな地震の恐怖を実感したが、揺れを感じた瞬間から収まるまでとっさに動けないことが分かった▼今からの時季は、春雷・発雷と言われるように春の訪れを示す季語だ。夏には厚い積乱雲が発生し、稲光は恐怖となる音とともに天空を走る。何万㌾が流れる光景はまさに恐怖しかない。また、真っ黒な積乱雲は不気味である。近くに落雷した時は、その音に心臓が止まりそうになる。樹木に落雷すると発火するか、縦に裂けてしまっている。雷に打たれないように▼これから水田を耕すため、実家の田んぼで「父親」と刈り草を焼いた。この時季は実によく燃えること。しかし、勢い余って広く燃やし過ぎると延焼して火事になる恐れがあった。恐る、恐る、少しずつ燃やしていると、遠くで作業している「おやじ」から「もっと早う火を点けんか~!」と私に罵声が飛んだ。風が強くなって消火できずに延焼してしまったらどうするのか。恐怖の瞬間である。結果、何とか作業を終えた▼近年「おやじ」の存在が特に薄く感じる。現在は、社会の変化から「地震・雷・〝家事〟・妻子」である。(勇)
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