子育ての地域性
2023年03月06日
少子化対策を考える自民党の調査会で、学生時代に奨学金の貸与を受けた人が子どもをもうけた場合、返済額を減免することなどを柱とする提言内容を固めたと報道されている。低成長時代の今、経済的支援はどの世代にもありがたいことだが、奨学金の返済の負担が軽くなれば子どもをもうける人が増えるとは考え難い。こういう提言がまとまる組織からは、いつまでたっても現状に沿った意見は期待できない▼今は、女性が1人で子どもを産んで育てるのが当たり前の時代ではない。子どもを産むのに適した年齢の女性は「子どもを産むに当たり、夫の覚悟と職場の体制は確立しているか、そして日本の未来は明るいか」と問い掛けていると思う▼36年前、長男が生まれて私は今で言うイクメンを選択した。育児と家事の全てを手伝った。妻とは業種が違うので休みが合わず、休日はいつも1人で子どもの世話をした。地域の子ども会とPTA活動にも取り組んだ。しかし、当時の会社に理解はまったくなかった▼最近のお互いの会社をみると、時代は変わり育児休暇がとれて、いつでも戻れる職場で時短勤務ができる。「今だったらもっと楽に子育てができたなあ」と2人でよく話す。しかし、子どもの出生数は減っている。そこは、女性の高学歴化と地域性に着目すれば結婚と出産が増えない要因が見えてくると考える▼豊後高田市は『地域の活力は人』をスローガンに掲げ、本気で子育て支援に取り組んでいる自治体らしく、市役所で若者や乳児をよく見かける。幼稚園の拡張や児童クラブの改修などの予算が計上されている。子どもは国の宝だから、子育て予算の出どころは国が妥当だが、使い方は地方に任せて良いのではないだろうか。子育てについての事情は、家庭も職場も地域によって違うはずだ。(リュウ)