大分建設新聞

四方山

話法

2023年03月02日
 告示まで1カ月を切った知事選。佐藤樹一郎・大分市長と安達澄・参院議員という、20年ぶりの新人同士の一騎打ちという構図になりそう。ともに政党色は極力抑え「県民党」を名乗る。単に「無所属」ではそっけないが、県民党とすることで政党色を薄めつつも、支援してくれる政党のメンツを潰さない配慮もにじむ。知恵の詰まった言葉である▼2人の県民党を前に、注目が集まっていたのが広瀬勝貞知事の対応である。どちらを支持するのか…。そして、満を持して、2月23日夜の佐藤氏の会合に出席し「経験や行政手腕の面では、一歩、佐藤さんの方がよい」と話したという。ところが、これだけ明確に答えたにもかかわらず「後継指名ではない」と述べたと、大分放送は報じた▼入試シーズンである。この発言の真意を問う国語問題が出題され、その後、正答が明かされるとしたら、受験生は頭を抱えたところだろう。広瀬氏にしたら「一歩」で物事を断じるのは性急過ぎると思っているのかもしれないが、額面通り受け取れない「政治話法」とはやっかいな代物である▼これもまた、政治話法の類いなのであろうか。子ども予算をめぐる、岸田文雄首相周辺の発言である。「異次元の少子化対策」を掲げる岸田氏は、子ども関連予算の「倍増」を打ち出す。どこにそんな金が…と首をかしげてしまうが、実は政府の本音も似たようなものらしい▼だが、政治家の言葉は重い。ましてやトップの発言である。国民の関心は「倍増」の実施時期に移っているなか、首相周辺からはトンデモ弁明が飛び出す。「出生率が上がれば『倍増』できる」と論じたのは木原誠二官房副長官。出生率を上げるための予算だというのに本末転倒である。熟慮の末の政治話法ではない。無遠慮な「ごまかし」である。(熊)
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