大分建設新聞

四方山

努力の継続

2023年02月16日
 「Baien」「Banri」「Tanso」。一体、何の名前かと思ってしまった。国東市の大分空港と大分市を結ぶ超高速船ホーバークラフト3隻の船名という。江戸時代に「豊後の三賢」とうたわれた、いずれも教育者であり学者でもあった三浦梅園、帆足万里、広瀬淡窓にちなんだという▼宇宙港を目指す大分空港である。国際化の時代を意識してのアルファベット表記だというが、なぜ漢字表記との併記をしなかったのかという疑問も湧く。そもそも県民であっても、「Baien」と目にして「三浦梅園」を想起するだろうか。「煤煙」と勘違いされるのでは…と、余計な心配もしたくなる▼2009年に一度は廃止されたホーバークラフト航路だが、来年度中に再復活の予定という。事業スタートが20年だったことを思えば、3年にして本稼働というのはなかなかのスピード感であろう。新造船の命名と時期を同じくして、大型プロジェクトの中止が決定された。三菱重工の国産初のジェット旅客機開発からの撤退である▼08年の開発着手から15年。結局1兆円を投じただけで終わった。私たち日本人がどこかで思い描いていた「ものづくり大国」という自尊心が打ち砕かれたことへの心理的影響も小さくない。民間シンクタンクの日本経済研究センターは1人当たりのGDPで、日本は今年、韓国に抜かれると予測する。今の日本の立ち位置なのだろう▼フランス・ルノー社の支配下に入っていた日産が24年ぶりに、その鎖を振りほどくことになった。ひとたび決まった枠組みを変えるには、相当の時間がかかるという証左であろう。「事業の成功には運もある。しかし、努力のないところに絶対に幸運は来ない」。日産の創業者で実業家の鮎川義介の言葉である。今の日本への警句のように響く。(熊)
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