大分建設新聞

四方山

トルコ・シリア地震

2023年02月15日
 「ここから出して。何でもしますから。あなたの召使いになります」。この言葉は、トルコ・シリア地震で被害を受けたシリア北部の村で、がれきの中から幼い妹と共に救出された姉が救助隊員に発した言葉。妹をかばいながら、地震発生から36時間後に救出されたことから喜びに包まれた▼しかし、姉の発した言葉に違和感を覚えた人もいるだろう。とっさに出た言葉なのか、子どもの人権侵害が続くシリアならではの言葉なのか不明だが、この姉妹には幸せになってほしい▼地震は発生から1週間が経過。死者は両国で4万人以上とされ、今も懸命に捜索活動が続けられている。トルコでは、各国からの救助隊による救出活動が続き、多くの義援金や支援物資が届いているが、内戦が続くシリアへは十分な支援が行き届いていないとされている。「災害に国境はない」と言われるが、両国で一人でも多くの生存者が救助されることを願いたい▼トルコは過去にも大きな地震がたびたび起きており、日本と同様の地震大国だ。近年では、1999年8月に起きた地震で死者が1万7262人と大きな被害を受けた。この地震を機に、耐震基準を日本並みに引き上げ、2018年に基準を最新にした。しかし、今回の地震では古い建物は当然だが、19年に完成した住宅まで倒壊したという。建築基準が徹底されていたのか疑問である▼トルコは親日国。明治時代に日本人から受けた恩を返すため、イラン・イラク戦争時にイランに取り残された日本人を救出するために救出機を派遣したことがある。恩とは何かを知りたいのなら映画「海難1890」を観てほしい▼日本も対岸の火事ではない。まもなく東日本大震災発生から12年を迎える。私たちも「備えあれば憂いなし」の精神を忘れず、常に災害に備えよう。(せい)
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