レコードを聴きたい
2023年02月06日
お客様を訪問すると、高級なオーディオ機器が目に留まることがある。もちろん仕事で伺っているので、聴かせてほしいとは言えない▼昭和50年代はオーディオ機器が小型化され、メーカーのセットを買うか、それぞれの機器をこだわりのメーカーのものでそろえるかという選択肢の下でレコードを聴く時代だった。就職して初めてのボーナスを、母と祖母に少し渡した後はオーディオ機器の購入につぎ込むことにした。職場にはオーディオ機器に詳しい先輩、上司がいたのでアドバイスをいただいた。自分のこだわりのセットは決まったが、予算がオーバーするので買えない▼そこで、音響に詳しい学生時代の恩師を訪ねた。先生のアドバイスは意外なことで「機器をそろえるのも良いけれど、レコードを買う予算を残して、たくさんレコードを聴きなさい」と言われた。さらに「音のことを言うならクラシックを聴きなさい」とも言われた。再度機器を見直し、スピーカーは中古を買うことにして何とか生まれて初めてのオーディオセットをそろえることができた▼初めて買うレコードに悩んだが、中島みゆきの「おかえりなさい」とビバルディの「四季」を買った。給料のたびにレコードを買い、レコードの音にどっぷりと漬かった。しかしオーディオライフの充実の半面、CDを聴くようになり、オーディオセットは行きつけの喫茶店に寄贈した▼生の演奏に近く、温かみと臨場感のあるレコードの音の良さが見直されており、レコードをリリースするミュージシャンもいる。聴きたいレコードは押し入れにしまってあるが、オーディオ機器の購入が必要だ。購入する前に、置く場所を確保するための断捨離をしなければならない。狭いマンションでは難しい課題だが、近々実現したい楽しみな宿題だ。(リュウ)