大分建設新聞

四方山

箴言

2023年02月02日
 大野伴睦と言っても、令和の時代、知る人も少ないであろう。自民党結党を主導した政治家である。今も語られる「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」という永田町の箴言は、大野の作である。だが、存命ならばこう続けたかもしれない。「死んだら責任を背負わされる」▼指摘されている旧統一教会との関係について、与野党の代表者との面会にやっと応じた細田博之衆議院議長のことだ。自身のことは棚に上げて、安倍晋三元首相と教団については「大昔から関係が深い」と語ったという。安倍氏に祟られるのではないかと、いらぬ心配をしてしまう。心臓が強くなければ政治家という稼業は務まらないのだろう▼強いどころか、毛が生えているのではと、このところ思わせるのが岸田文雄首相である。年頭記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と語っていたが、開会した国会の施政方針演説では「次元の異なる」に言い換えた。国会は言論の府である。一つ一つの言葉は重い。論戦で問われた岸田氏は言った。「違いはありません」▼要は無責任な言葉遊びになってしまっている。大方の国民は望んでいるのは「異次元」でもなければ「次元の異なる」でもない、地に足の着いた「当たり前」の施策であろう。この流れだと、政権が掲げる「新しい資本主義」も「これまでと違いはありません」になりかねない▼親が親なら、と言うのは気が引けるが、首相秘書官に任ぜられた長男も剛の者と見受けられる。『週刊新潮』に「外遊で観光三昧」と報じられた。欧米訪問に随行した長男氏、公用車で名所訪問に買い物といそしんだらしい。政府は「不適切な行動はない」と火消しに躍起だが、そもそもなぜ、長男を要職に就けたのか。言葉だけでなく身内にも甘いようだ。(熊)
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