大分建設新聞

四方山

消えゆくもの

2023年01月26日
 冷え込む日々が続く。こんな季節になると、思い出すのが半世紀近くも昔の話になるが、詰め襟学生服の襟元のことだ。朝起きて学生服を羽織ったときの襟のプラスチック製カラーの冷たさといえば、今想像しても震えがくる。時にカラーが割れたりするが、外すわけにはいかない。教師に見つかりもしたら「不良の兆候」ということで反省文が待っていた▼街ですれ違う中高生の詰め襟学生服、セーラー服姿は少なくなり、男女ともにブレザー姿が増えたように感じられる。中津市内の公立中学校では、新年度からブレザーに統一される。時代の流れなのだろう。同じ詰め襟学生服でもプラスチック製カラーは、すでに消えつつある。今も変わらずプラスチック製と思っていたが、カラーに見せかけた白い布地がほとんどのようだ▼それもそのはず。国内で唯一プラスチック製のカラーを手がけていた東大阪市のメーカーが2021年で製造をやめていた。ホンモノがなくなれば、それに似せた布製カラーも意味がない。「学ラン」と呼ばれていた詰め襟学生服は早晩、絶滅する運命にあるのだろう▼消えてなくなるといえば、国と国民との間の信義、信頼も同様であろう。国が請け負ったはずの国民への約束がいとも簡単に破られていく事態が続く。目減りする一方の年金だけでない。最近もあ然となるようなニュースが報じられた。いずれ無料にすると言っていたはずの高速料金である▼国は2005年の道路公団の民営化に伴い50年まで料金を徴収し、以降は無料開放するとしていた。その後、65年に延長され、今度は2115年まで引き延ばす方針という。要は半永久徴収である。施策の大転換に当たって国民に謝罪したという話は聞かない。果たしてその時まで、日本という国があるのか不安にもなる。(熊)
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