大分建設新聞

四方山

異業種参入

2023年01月24日
 アフターコロナの経営トレンドは「異業種参入」だという。活況を呈する婚活サービス市場に目を付けたのが大手ホテルのニュー・オータニ。今春、結婚相談所を開設するという。自動車メーカー、マツダのお膝元の広島で同社の自動車販売を手掛ける広島マツダは、人気お好み焼き店を経営するもう一つの顔を持つ。ロート製薬はカフェ業界に参入した▼とはいえ、披露宴に使われるホテル業界と、結婚相談業務は近接しているし、マツダとお好み焼きと言えば、ともに広島の看板である。ロート製薬の方も、栄養学に基づいた料理の提供が売りのカフェというから、やはり本業での経験を生かせる「異業種」というのが流れのようだ▼その意味でいえば、大分合同新聞1月21日付紙面が報じた3段見出しのニュースには驚いた。新聞発行業の同社が農業に参入するという。臼杵市でイチゴの栽培に挑む。新たに設立した農業法人名は「大分合同アグる」。伝統ある屋号を盛り込んだことからも、同社の並々ならぬ決意がうかがえる▼異業種の農業参入といえば「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングもかつて野菜の生産、販売に乗り出したことがある。2002年にスタートしたが、わずか1年半で手を引いた。工業生産と違い、生産量をコントロールできなかったことが原因とされる。だが本県を代表する情報産業企業である。リスクも織り込み済みであろう。成功を祈りたい▼そのファーストリテイリングがまたもや世間を驚かせた。国内の従業員の年収を最大で約40%引き上げるという。同社を率いる柳井正氏が掲げる経営者十訓の一つ「常識に囚われず、柔軟に対処せよ」を地で行く。早々に農業から撤退したのも、同じゆえんか。今回も…と思ってしまうのはやっかみの類いであろう。(熊)
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