大分建設新聞

四方山

相棒

2023年01月20日
 週の頭に電気代の請求を見て気が遠くなったのに、昨日さらに気が遠くなる「車検のお知らせ」はがきが届いた。もうお金はない!と豪語しているのに、家族は相変わらず「あれが欲しい、これが欲しい」と口々に言う。もう口を縫い付けてやりたい▼初めて買った車はダイハツのネイキッドと言う中古車だった。免許取得前から「この車を買う」と決めており、大学時代にアルバイト代を必死に貯めて、50万円現金一括で購入した。色は白。この車で家族や友達と色々な場所に行った。大きな故障もせず、16年という長きにわたって相棒を務めてくれた。就職、転居、結婚した時もずっと一緒。大切に乗っていた▼別れは突然だった。2年前の4月9日、順調に走っていたのに急にスピードが出なくなり、路肩に寄せた途端にストンとエンジンが止まった。何度セルを回してもエンジンはかからず、仕方なくレッカーを手配した。車に寄り添って待つ間、上空の抜けるような青空には桜吹雪が舞っていた▼運び込んだ整備工場で、修理には買った以上の金額がかかると宣告された。あんなに一緒だったのに、もう動かないのかと思うと涙が出た。「仕方ない」とドライに言い放つ家族に無性に腹が立った。付き合いはお前より車との方が長いんじゃ▼仕方なく車を買い替えたのだが、間に合わせで買ったからか、全く愛着が沸かない。しかし乗ると、性能や燃費、環境への配慮は20年でこうも変ったのかと驚かされる。エコカーなので保険料も安い。物を大切に使うのも大事だが、時代に付いて行くことも大事なのだと実感する▼本当はまたネイキッドの様な愛車に巡り合いたい。しかし、テーブルに並ぶ電気代の明細と家計簿を見ると、そうも言っていられない。まぁ車検後もしばらくは、今の車が相棒だ。(万)
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