大分建設新聞

四方山

負けるな書店

2023年01月18日
 1月になってまもなく、道路を挟んだ会社真向いの書店が閉店した。会社帰りに時々立ち寄っていたなじみの書店だったが、残念でならない。閉店理由は分からないが出版業界は厳しいと聞く。確かに地域の何処でもあったような書店(古書店を含む)が少なくなっていると強く感じる。何でも購入できる便利な時代が昔からの形を消してしまっているようだ▼書店の良い点は、いろいろな分野に分けて置かれた本が、興味のある目的の本以外にも視野の中に飛び込んでくることだ。これまで見たことがない、参考となりそうなものまで自分の目に入ってくる。「あ、こんな本もあるのか」とちょっと手にとってページをめくることで、何か自分の参考となる発見があるかもしれない。自分にとってそんな知識を豊かにしてくれる、癒してくれる空間でもある▼書店の減少は、年々進んでいる。出版科学研究所によると、1998年に約2万2000軒あった書店は、毎年3~5%のペースで減少が続き、2020年には約1万1000軒と22年間で半減したという。大手の書店も同様に減少傾向のようだ。書店が閉店している原因は、やはり売り上げが低迷していることにあるという▼出版業界にあっては、市場が振るわないわけではないようだ。コミックを中心に電子書籍による18~21年の4年間で販売額は倍増している。一方、書店や取次店は「本を売って」稼ぐしかない。しかし、出版復調の中、紙媒体は相変わらず低落が止まらない。紙書籍の市場規模は18~21年の4年間で7%も落ち込んでいるという。今も紙媒体の市場をネットによる書店が侵食している。実際に書籍や雑誌を並べて販売する書店は、ますます生き残りが難しくなっている▼今こそ、便利なネットでは味わえない魅力を書店は生み出せ。(勇)
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