大分建設新聞

四方山

女性の力

2022年12月09日
 11月のある休日、久しぶりに古いオートバイを引っ張り出した。時折小雨が降るあいにくの天気だったが、片道2時間の小旅行。すがすがしいひとときだった。行き先は熊本県のホンダ熊本製作所。モーターサイクルホームカミングという催しに参加してきた▼1976年に操業を始め、本田宗一郎が生んだスーパーカブから大型まで製造するホンダの二輪車の主力工場。催しは「生まれ故郷」といえるこの工場に愛車を里帰りさせ、ユーザーにも見てもらおうという企画だ▼参加者は関東や四国からも訪れ、女性も目立った。会場にはさまざまな部品が展示してあり、最新の鋳造アルミサスペンションの部品をいかに軽く強く作るかを2年がかりで研究したなど、担当者の話はどれも面白く、ユーザーの心を離さないうまい企画だと思った▼製造工場も見た。流れ作業の現場は、手元がさまざまな角度に変えられる工夫がされているそうで、ラインの進む速度はゆっくりに見えた。ルポライターの鎌田慧さんが季節工として働き描いた「自動車絶望工場」のような悲壮感は感じなかった。だが〝現代のライン〟は色々な車種が流れていて一人が組み立てる範囲が広く、より大変な面もあると説明してくれた▼80年代の爆発的な人気とは比べられないが、またバイクブームが再燃している。若いころ乗っていた中高年ら「リターンライダー」に加え、女性の増加が後押ししている。振り返って「男くさい」建設の世界もじわり女性の進出が進む▼街づくりを担い災害復旧を支え…、日進月歩の業界は、男女の差なくやりがいがあるはずだ。女性が図面に向かうのも重機を動かすのもカッコいい。世のブームを生み出す女性の心をわしづかみするくらい魅力的な職場が増えれば、業界の未来は見えてくるはずだ。(秀)
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