大分建設新聞

四方山

課題は現場にある

2022年12月05日
 いろいろな会社を訪ねて経営者の話を聞いても、この数年に入社した若い新卒社員に話を聞いても、建設業界の働き方改革は確実に進んでいる。それは、社員の高齢化と人手不足という切羽詰まった課題がすでに現実化しており、問題が顕在化されているので効果的な対策が打たれているからだ。しかし、まだ道半ばで、これからさらに目指す姿に進んでいかなければならないという声を聞くと、建設業界の将来は明るいと感じる▼一方で、子ども園のバス運転手が園児を置き去りにしたかと思えば、今度は保育園で乳幼児に対する集団的虐待の事実が明るみに。人手不足に喘ぐ企業が一生懸命に働き方改革に取り組み、学校を卒業してくる若者を迎え入れようとしているのに、人を育てる入り口では信じられないことが起きている。いつの時代も子どもは国にとって宝なのに、子育ての闇だ▼保育業界の人手不足は今に始まったことではなく、私の子どもがお世話になっていた30年以上前も同じだった。その頃は給与の低さが問題で、保育士を目指す男性もいたが、生活が成り立たず断念した。人を育てる仕事は、その個人の将来にも大きな影響を与えるし、後に社会人として職場にも大きな影響を与える大切な仕事。それだけに待遇が良いのは当たり前で、働き方改革が最も進んでいなければならない業界のはず▼だが、言うのは簡単で、働き方改革を進めるには、確たる経営者のビジョンが社内に浸透しなければならず、経営体力も時間もかかる中長期計画が条件になる▼保育士は子どもが好きな人が就く仕事だと思う。こんな事件を起こす人が保育士になったことも理解できないが、せめて採用時に気付いてほしい。また、どんな仕事も同じで「現場で起きている不都合な事実」を隠していると火は消せなくなる。(リュウ)
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