大分建設新聞

四方山

想い

2022年12月02日
 思いが伝わるのは必ずしも言葉だけではない―毎週楽しみにしている木曜ドラマ「silent―サイレント―」の7話を見て思ったことだ。このドラマは高校卒業後に「若年発症型両側性感音難聴」という難病を患い、数年して完全に耳が聞こえなくなった青年と高校時代に付き合っていた若い女性が、卒業後8年経って偶然再会してから始まる恋愛ストーリー▼7話の最後のシーン。再会後、必死に手話を覚えてつたない会話をする二人。高校時代の思い出話に花を咲かせ、その流れで彼女の家に行った彼は「耳は聞こえないけど声は出る」と無理に声を出そうとする。そんな彼に彼女は「無理に喋らなくていいの。あなたの声が好きだったけど、それ以外も好きだから。喋らなくてもあなたはあなたのままで。変わらなくても好き」と敢えて声を出して思いを伝えた。すると彼は全てをわかって彼女をハグ。手話でなくとも伝わったのだ▼彼が患った病気は国が指定する指定難病の一つ。原因は遺伝子の変異で突然発症することも。この病気を含め日本の難聴者数は1430万人、人口割合では約11%と世界でも3番目だそうだ▼しかも難聴者全員が手話を使えるわけではなく、ドラマで使用される翻訳機「UDトーク」などの音声変換アプリ、指文字、補聴器、筆談などそれぞれ自分に向いた方法でコミュニケーションをとっている。「思い」を伝えるのは必ずしも言葉だけではない。言葉も一種の「ツール」に過ぎない▼先日買い物に出掛けた時、公園で見かけた手話で話す女性二人。笑い声まで聞こえてきそうな楽し気な彼女たちを見て、感動した。手話教室に行きたいと思った。コミュニケーションを取る上で大事なのは「気持ち」。それは聴覚障がい者に限らず、どの世界でも同じだと思うから。(歩)
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