大分建設新聞

四方山

伝える努力

2022年11月30日
 先日あったNHK番組「うたコン」は旅がテーマだった。テレビの前にいながら、出演者の見事な歌声が遠く離れた歌の場面へといざなってくれた。コロナ禍で長く自粛を余儀なくされてきた「旅」への思いが改めて湧き上がった▼新聞記者の仕事柄、東北、関東、九州と転勤しさまざまな所を巡った。カーリング取材で訪れた北海道・常呂町(現北見市)では、12月に気温はマイナス15℃と極寒で、チーム青森とチーム長野の熱戦を見た後の夜の北の町は、演歌の舞台のように凍てついていた▼旅の写真は10年、20年を経て見返すと、一瞬にして当時の頃の自分に返らせてくれる。先日、今は亡き父らと訪れた湯布院の写真を見つけた。美しい雲海に見入る姿が頭によみがえった。その時、寒さで乾いた目からコンタクトレンズが落ち、這うようにして探したのもいい思い出だ▼観光需要を喚起する「全国旅行支援」は、年明け以降も継続されるようで、全国で盛り上がっている旅への渇望がますます膨らむのではないか。需要の高い年末年始は対象とならないようだが、疲弊した地域の振興につながってほしい▼福岡市ではこの夏、博多祇園山笠があり3年ぶりの「追い山」に酔いしれた。一方、徹底したコロナ対策を施したとされるが「担ぎ手の間に感染が広がっていた」と、自身も感染したという参加者が教えてくれた。未感染の担ぎ手を集めるのに苦労する事態もあったそうだが、そんなことを伝えるニュースは「見なかった」と苦言も言われた▼田舎で過ごすお正月は、かけがえのない一生の思い出を与えてくれる。「コロナ」「インフル」の同時流行も心配される。全国で起きるさまざまな事例を積み上げ話し合ってこそ自粛に頼らないコロナとの共生社会が見えてくるように思う。マスコミはもっと伝える努力を。(秀)
取材依頼はこちら
フォトkンテスト
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP