大分建設新聞

四方山

世界から学ぶこと

2022年11月29日
 サッカーのワールドカップの陰に隠れてしまったが、大相撲は横綱不在、2人の大関も1人はかど番で、陥落した大関は復帰がかかるというピリッとしない上位陣で、誰が勝ってもおかしくない混沌とした九州場所だった▼大相撲を国技とする日本では、礼に始まり礼に終わるのは当たり前で、どのスポーツでも道具や競技場を綺麗に使うことをそれぞれのチームで子どもの頃から学ぶ。帰るときは来たときよりも美しく、ということを日本の文化として叩き込まれる▼しかし、世界の目は、ドイツとの試合後のスタジアムで日本サポーターがごみ拾いをする姿や代表チームが試合後のロッカールームをきれいに整理整頓して帰ったことにとても驚いた。世界は日本代表チームからサムライの精神を学んだ▼さて、日本人は、海外のチームが訴えたメッセージから何を学んだのだろう。国歌に口を開かなかったイラン代表チームのこと、片膝をついたイングランド代表チームのことの意味を日本人はどう考えたのだろう。そして何よりも、七つものスタジアムの建設、その周辺のインフラ整備が急ピッチで行われた工事現場で多くの外国人労働者が死亡した可能性があること、また人権問題に対して、ユニフォームにメッセージを込めたり、メディアが放映のカットや短縮、ミュージシャンが出演を断ったりしたことにも目を向ける必要がある。輝かしい技術とプレイの裏には、背負っている思いがあることをしっかり知るべきだ▼もはや日本の職場は海外諸国となんらかのつながりを持っている。これから異文化を持つ国民と一緒に仕事をしていく若者には、世界の国や地域には、それぞれの歴史と背景があることを予習してもらいたい。それが、日本人と日本という国の価値を上げることにつながる。(リュウ)
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