大分建設新聞

四方山

シフトチェンジ

2022年10月17日
 物価高に円安という環境に、企業や商店としては、すでに値上げや料金据え置きの内容量減少という実質値上げに踏み切っているのが現実で、買いだめや買い控えという消費行動が増え始めている。しかし、値上げをせずに商品に新たな付加価値を加えて成長への道を歩き始めている企業や商店もある▼高知県の造り酒屋では、製造の光熱費、出荷の輸送費、パッケージの一升瓶と箱のコストなどすべて値上げの対象となっている中で、出荷に使う一升瓶の輸送効率の向上に取り組んだ。つまり1回の輸送で運べる酒を増やしてコストダウンを図るのである。そこで一升瓶を使わずにパウチに清酒を入れて出荷するように改善した。瓶と違って隙間なく詰め込みができるので、輸送効率は上がった。その際、一升単位でパウチに入れるのではなく、飲食店や家庭でそのまま飲めるサイズにしたことでヒットした▼さらに、冷凍出荷にも取り組んだ。造り酒屋は生酒の美味しさを充分知っているが、瓶詰の出荷では冷凍はできない。しかしパウチに入れて冷凍で出荷することで、フレッシュな日本酒を多くの客に味わってもらえ、好評を得ている▼一方で街の肉屋も斜陽化している。博多のある肉屋では、生産から販売までをトータルで行うことによるコストダウンだけでなく、美味しい肉の生産を追求し、それぞれの肉をどう料理すれば美味しいかアドバイスしてくれる。さらに、店頭で無料で味付けをしたり揚げたりして商品の付加価値を上げている。客の喜ぶものを作り、売ってヒットしている▼どんな環境変化があろうとも、客の手間を吸収して、客の求める付加価値の高い差別化した商品を実現すれば成長できるという実例だ。同じ商品を売り続けるだけではなく、シフトチェンジが必要な時代が来ている。(リュウ)
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