大分建設新聞

四方山

半端ない

2022年10月12日
 「村上イヤー」。今年のセ・リーグは、まさにヤクルトの村上宗隆選手の独壇場だった。最終戦の最終打席で劇的な特大アーチを放ち、日本人選手としては王貞治さんの記録を超えるシーズン56号本塁打を記録した。若干22歳。打率、本塁打、打点の打撃主要部門のタイトルを独占し、令和初、史上最年少の「三冠王」に輝いた▼打率の王座をめぐって、激しく争ったのが一時は一厘差まで肉薄した中日の大島洋平選手(36)。村上選手とデッドヒートを演じる最中、インタビューに「(打率差は)ぶっちゃけ気になります」(9月25日付日テレニュースサイト)と話していた。古い人間だからだろうか「ぶっちゃけ」という言葉がそれこそ気になった▼「正直なところ」を意味する「ぶっちゃけ」は、2003年のテレビドラマで木村拓哉さんが使って広まったとされる。「ぶちまける」が語源らしい。砕けすぎた表現だと思っていたが、文化庁の国語世論調査によると、6割が「気にならない」と回答した。とうに一般語化しており、当方が時代に取り残されていただけなのだろう▼同じように「半端ない」という新しい表現も「ぶっちゃけ」と同様、一般語として定着しているというのが同庁の見解のよう。とは言っても、目上の人に「半端ない御社の業績、ぶっちゃけすごいことです」と口にするのは少々気が引ける▼けれども、海を越えて報じられたこのニュースだけは「半端ない」と快哉を叫んだ。投打の二刀流で野球史を塗り替えている大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(28)である。大リーグが定める規定投球数、規定打席数をともにクリアした。大リーグが現在の2リーグ制に移行した20世紀初頭以降、前人未踏の大記録である。「ぶっちゃけ半端ない」。自然と口をついて出てくる。(熊)
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