大分建設新聞

四方山

親知らず

2022年09月28日
 数日前、歯の左下の『親知らず』を抜歯した。虫歯になっていたのと、変な方向に曲がって生えていたので「歯並びに影響が出る」と言われたからだ。周囲から「抜歯は痛い」と脅されていたので気が進まなかったが、このまま放置した場合のリスクを考え、重い腰を上げて口腔外科を受診した▼レントゲンとCTスキャンの結果、先生も抜いた方がいい、と言う。そう何日も会社を休めないので、即日処置でお願いした。「順番が来たら呼びます」と一旦待合室に出される。ため息という二酸化炭素排出が止まらない。待つ間に事前説明書なるものに目を通す▼親知らずとは、前歯から数えて8番目、一番奥に生えてくる永久歯のこと。10歳ごろに骨として成型されるが、成長して頭を出すのは20歳以降になるらしい。ちなみに上下左右に4本全てが生えるのは、日本人の36%だそうだ。きれいに生えそろえば抜く必要はないのだが、現代の日本人は食事が欧米化し、柔らかい物を多く食べるようになったために顎が退化、小さくなったことから、親知らずがまっすぐ生えるスペースが無く、埋没したり横向きに生えたりと問題を抱えるようになったらしい。もう現代病の一種にカウントしてもいいくらいだ▼局所麻酔を打った後、処置が始まった。限界まで開けた口の中で、メキメキ、ゴキンと、中世の拷問でも受けているかのような音が響く。意識が飛びかけた▼約20分後に解放されたのだが、ずっと開けていた口はかなり痛い。麻酔が効いていても、違和感とズキズキした痛みに気が滅入る。いったい私が何をしたというのか。涙がポロリ▼早く帰って、もう今日は寝てしまおう。そう思っていた矢先、会計窓口で名前を呼ばれた。明細の下の方にある合計金額は9220円。本日二度目の意識が飛びかけた。(万)
取材依頼はこちら
フォトkンテスト
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP