大分建設新聞

四方山

命札

2022年09月26日
 認定こども園で園児が通園バス内に取り残されて死亡した。心よりご冥福をお祈りする。もう犠牲者を出してはいけない▼乗務員が2人いたのに確認できなかったのか。声をかけながら指差し確認をしたのか。アプリによる管理もしていたのに、何重にも見逃したことに「なぜ」という疑問符が重なる。しかも、同様の事案は2度目だ。私は、人が確認する限りこの手の事故は無くならない、バスにカメラや生体反応センサーを付けて、誰もいないことを機械に判断してもらうしかないな、と考えた▼しかし、IT技術に頼らずにアナログで知恵を使って対応しているこども園がある。バスが園を出発する前に、最後部の座席にぬいぐるみを置く。園に到着後、職員がぬいぐるみを取りに行くことで、バス内に園児が残っていないかを自然に確認できる。また、コロナ以後、園児が降りた後に必ず消毒するので、以前より車内を確認しているとも言う▼今回の事件に伴い「命札」も話題になっている。昭和の世代なら誰でも知っている遊泳の時の「カマボコ板」だ。夏になると、プールの水泳授業以外にもプールの開放日があった。プールの無い学校では海や川での遊泳が許された。遊泳する時には、自分の名前を書いたカマボコ板を持って行って掲示する。監視にあたる保護者や地域の人は、顔と名前が判らなくても、遊泳が終わって残る命札が有れば水から上がっていない人がいることが判る仕組みだ。懐かしいと思いながらテレビを見ていたら、カマボコ板の命札は、西日本、特に瀬戸内海に多い習慣だという。蒲鉾の生産・消費が多かった地域では、カマボコ板が容易に入手できたかららしい▼この仕組みもバスの園児確認に使えると思った。50年前の安全管理でも、知恵と工夫で大切な命は守ることができる。(リュウ)
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