大分建設新聞

四方山

危機

2022年09月20日
 大型で非常に強い台風14号が列島を襲った。本県の被害も甚大だった。被災された方々に、心からお見舞いを申し上げたい。5000人超の死者・行方不明者を出し、明治以降では最悪の惨事となった伊勢湾台風(1959年)に匹敵する勢力で、米軍の気象機関は最上レベルの「スーパー台風」に認定したほど。実際、激しい強風が吹き荒れた▼時を同じくして永田町の自民党本部は、臆病風に見舞われたという。原因は、毎日新聞9月19日朝刊掲載の世論調査結果である。岸田文雄内閣の支持率は8月調査の36%から7%下落し29%、自民党の支持率も6%下げて23%にそれぞれ急落した。永田町で広く浸透している経験則に「青木の法則」がある▼内閣支持率と政権第一党支持率の和が50を切ると、政権の維持は困難になるというのである。自民党参院のドンと評された青木幹雄元官房長官が提唱したとされる。同紙のそれは52。むろん一つの調査だけで即断するわけにはいかないが、衆参を制し盤石の基盤の上にあると思われていた岸田政権は、厳しい局面に向かっているのかもしれない▼エリザベス女王の国葬に絡んで、泣きっ面に蜂のような事態も起きている。当初、岸田氏は参列に前向きと報じられた。各国の要人が集まる中、得意の外交で点数を挙げたいと思ったのだろう。だが周知のように、天皇、皇后両陛下が参列されることになった▼共同通信は「首相、英女王国葬見送りへ」と報じたが、そもそも英王室からの招待状は国家元首級の2人分で、岸田氏の参列の余地はなかったとも指摘される。急落する支持率の要因の一つは、国論を二分する安倍氏の国葬問題である。岸田氏にとって国葬は鬼門なのだろう。「聞く耳」と言いながら、拙速な判断が自らの危機を招いているようにも見える。(熊)
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