大分建設新聞

四方山

国葬

2022年09月14日
 世界中を驚かせ、悲しませた英国エリザベス女王の逝去。96歳という年齢を思えば天寿全うと言うべきだろうが、在位70年歴代最長の君主にはどこか「永遠に続く」ような雰囲気があった。25歳で女王になってからの個人の歴史は、そのまま世界の歴史につながっているように見える▼第二次世界大戦以降、世界ではさまざまな紛争、大事件が途切れる暇なく続いており、今もウクライナではロシアの狂乱プーチン大統領の大暴れが演じられている。君臨すれども統治せずの女王も、歯がみしながら終戦を祈っていたと伝えられる。女王の葬儀は、この19日に国葬としてロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われる▼先日、逝去されたスコットランドで自動車による棺の移動が行われた。テレビで見ていて、ふと気になったのがガラス張りの後部に棺を乗せた先頭車両のマーク。メルセデスベンツのマークだ。英国王室といえば当然ロールスロイスと思い込んでいたが、同社のエンジン部門はすでに民間に、自動車部門はドイツのBMWに移っていると、わが身の無知を知らされた。第二次大戦で活躍したスピットファイアー戦闘機のエンジンとして名を馳せ、100㌔の速度でも腕時計の秒針音が聞こえたという車体も有名だった。女王も長らく愛用されただろうと思うと、世の変遷の激しさをつくづく感じる▼国葬には天皇、皇后陛下も列席され、バイデン米国大統領を始め各国の首脳が女王を見送るという。世界中のメディアが大々的に報道することだろう。奇しくも同じ9月の27日には、わが国でも安倍元首相の国葬が執り行われる。しかし女王のように明快な雰囲気ではない▼早々と国葬を決定した岸田首相も国民の思わぬ反応に困り果てているように見える。二つの色違いの国葬に戸惑う。(あ)
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