大分建設新聞

四方山

深夜の皿洗い

2022年09月12日
 ソファーでのうたた寝から目が覚める深夜。乾いた喉を潤すために冷蔵庫を開ける前に流しの洗い物が目に入る。喉を潤した後は、深夜の皿洗いをする▼洗い物をするのは初めてではないが、久しぶりだ。30数年前、長男が生まれても妻は働いていたので、私も自然と家事と育児をするようになった。今ではイクメンと言うが、当時はそういう言葉も無かったし、家事や育児をする男性は私がいた会社には皆無だった▼社内の競争社会の中で、人よりたくさん仕事をして、人より多くの実績を積み重ね、成果発表や昇格試験に取り組むのが男性社員の「当然」だったからだ。そんな中でイクメンになり、緊急事態でなければ残業をしなくっなった私に上司の風当たりは強かった。妻は別の会社で働いていたのに「奥さんに会社を辞めてもらえ」とまで言われた。そういう上司の言葉は無視して仕事と家事と育児の3刀流を貫いたので、風当たりはさらに強くなり、主要業務から外されて品質保証や環境保証など、成果になりにくい人の嫌がる仕事ばかり担当させられた▼しかし子どもというものは成長するもので、育児に費やす時間もだんだんと減っていき、残業を断らないようになると、重い仕事が次々と廻ってきた。システム開発や新規事業の立ち上げプロジェクトなどに携われば、毎日午前様。土曜日は毎週出勤で100時間を軽く超える残業生活になった。その頃から家事をしない仕事中心の生活が長く続くことになる▼この夏の終わりに、家庭の事情で深夜の皿洗いが25年ぶりに復活した。もちろん、洗濯も掃除もだ。今では男性、女性に限らず家事や育児に取り組む時代になった。妻と「今、子育てができたら、もっと子どもと一緒の時間を過ごせたのに」と辛かった昔を思い出す。さて洗うとするか。(リュウ)
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