大分建設新聞

四方山

ベストセラーをまだ読んでいない

2022年09月09日
 休日はよく図書館や本屋へ行く。絵本の読み聞かせボランティアをしており、絵本を選書する必要があるからだ。だがそれ以外でも、活字に関わる業界で働く者として「今どんな本が売れているのか、筆者はどんな人か」などは把握しておくべきと考えている。ちなみに今の書店の棚では「人は話し方が9割」の著者、永松茂久氏(中津市出身)の勢いがすごい▼どんなジャンルの本でも読むのだが、意外と仕事の参考になるのが事件ルポや裁判記録だ。起こった事実が個人の感情を入れず時系列で書かれているので、新聞と似通った部分もある。また「自分が陪審員だったら」と、冷静に一歩引いた位置から事件を客観視することで、犯人の家庭環境など、背後にあった問題にも視点・思考が巡るようになる▼いま読み進めているのは、被害者が3人以上で死刑という、いわゆる永山基準の判例をつくった「永山則夫連続射殺事件」の裁判記録だ。読めば読むほどに、1968年の事件で下された判決が、今なお基準として裁判に影響を与えていることに疑問を感じざるを得ない▼日本史上稀にみる凶悪事件と称される「北九州監禁殺人事件」では、7人の尊い命が奪われた。主犯の男には死刑、共犯の女には無期懲役が言い渡された。さまざまな書籍を読み比べても、どうにも判決に納得がいかず鬱々としてしまう。余談だが、読んで怒りを覚えた本が過去に一冊だけある。元少年Aが書いた「絶歌」だ。あの本が税金で購入され、図書館の棚に置かれているのだけは許せない▼世界のベストセラー、それは「聖書」だ。外国のホテルでは枕元に備品として置かれている所もある。わが家の本棚にもあるにはあるが「今じゃないんだよなぁ~」とまだ読んでいない。…冒頭で言った言葉は取り消します。(万)
取材依頼はこちら
フォトkンテスト
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP