大分建設新聞

四方山

ギネス世界記録への挑戦

2022年08月31日
 「記録を出す」という行為は、時にその重圧や肉体的負荷から、辛く苦しい経験を伴う。数字や目に見える結果が得られることから、称賛や評価を受けられるというメリットは大きいが、その過程で全てを放棄してしまいたくなる衝動や、多大なストレスが同等に発生する。体験した私が言うのだから間違いない。何を隠そう、私が挑戦した記録は「ギネス世界記録」だ▼と言っても私一人で達成したわけではない。挑戦したコードは「世界最大のからあげ供給量」。中津市で年に一回開かれる「からあげフェスティバル」というイベントで、目玉として取り組んだのだ。当時勤務していた会社が主催していたため、この企画の担当となった。挑むのは1・6㌧という大記録。参加した、唐揚げ18店舗に一斉に90㌔ずつ揚げてもらい、計量後に専用の箱に投入していくという方法だった▼結果から言うと、記録は達成した。公式認定員が会場で認定ジャッジを下した時には、思わず泣いた。約一年をかけた下準備、協力してくれた店舗の方々、スポンサーの企業、地域振興で補助金を交付してくれた県の期待、それらに応えることができた瞬間だったからだ▼忘れられないのが、唐揚げを投入する箱を作ってくれた鉄工所の社長だ。快く引き受けてくれたのもありがたかったし「こうした方がいい」などアドバイスもたくさん頂いた。箱を会場に設置するクレーンなどの重機の手配、前日までかかった過重の最終調整なども、全て付き合ってくれた▼人生でこの胸にギネス認定証を抱く日がくるなど想像もしたことがなかったが、記録以上に手にしたものがあった。自信と度胸だ。そして何かあれば助けてくれる周囲の優しさ。それに気付いたあの日から、人生が少し生きやすくなったように感じている。(万)
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