大分建設新聞

四方山

浸食

2022年08月19日
 「この見事に咲いた遠山桜、忘れたとは言わせねえぜ!」。桜吹雪の彫り物を見せながら啖呵を切る。「遠山の金さん」こと、町奉行・遠山金四郎景元の決めのセリフである。たまたまネットで見た、金さん演ずる片岡千恵蔵の堂々とした演技に「恐れ入谷の鬼子母神」と感服した▼江戸後期の実在の人物だが、実際に入れ墨が入っていたかどうかは分かっていないらしい。ただ、日本の議会史の中には「入れ墨大臣」と呼ばれた異色の政治家がいた。小泉又次郎(1865~1951)。度胸一番の港湾手配師を生業とし、ひょんなことから政界入り。逓信大臣まで務めた。余談ながら孫は小泉純一郎元首相である▼戦後になっても「政界の暴れん坊」などと呼ばれたりした、その筋の出身の政治家はいるにはいた。しかし、それもバブル経済が崩壊した平成前期ごろまでであろう。反社会的勢力に食い荒らされ、海外からは「ヤクザ不況」と評された日本経済の後退。その反省をもとにコンプライアンス重視のかけ声が高まり、永田町に直接入り込む余地はなかったはずだった▼しかし、代わりに別の筋が浸食していたようである。そう、安倍晋三元首相の射殺事件以降、自民党との深い関係が問題視されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)である。岸田文雄首相による改造内閣。コロナ、物価高対応を念頭に「有事の内閣」と位置づけたが、本当のところの「有事」とは同教団との関係であろう▼その清算の意図があったのだろう。関わりが判明していた7閣僚を交代させたものの、新たに7閣僚が教団との接点を認める事態に。支持率は上がるどころか、読売新聞の世論調査では岸田内閣にとって過去最低の51%に下落した。「恐れ入ったか」「これにて、一件落着~っ!」とはいかなかったようだ。(熊)
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