大分建設新聞

四方山

手掌多汗症

2022年08月18日
 健康だけが取り柄の私。今まで急を要する大病を患ったことも無ければ、骨を折るような大けがをしたこともない。家族全員がインフルエンザにかかった時も一人だけケロッとしていたし、先日帰省前に受けた新型コロナの抗原検査も、めでたく陰性だった。そんな私だが一度だけ、ちょっと珍しい病気の手術をしたことがある。病名は「手掌多汗症」という▼「原発性局所多汗症」とも呼ばれる、体の一カ所にだけ異常に汗をかくこの病気。足、脇、顔など人により部位は異なるが、私の場合は手のひらだった。ちょっと湿っているなどというレベルではなく、下げた手から水滴のような汗が滴り落ち、袖口が常に濡れているという、基準と照らし合わせると重度の判定だった。タオルが手放せず、故障するからとパソコンも触れない。学生時代は「1枚取って後ろにプリントを回す」という簡単な動作も一苦労で、ピアノは染み込んだ汗で鍵盤にカビが生える始末。運動会のフォークダンスは苦行でしかなかった▼20年前は病名も一般的でなく、精神科に行ったり、よく分からない祈祷を受けたこともあった。現在は原因が交感神経の機能亢進(無意識に興奮状態が続く)であることがわかっており、外科的治療「胸腔鏡下胸部交感神経幹切断術」で汗を止めることができる▼中学3年生の時に、当時最新の手術を受けた。術後に看護師さんが塗ってくれた、初めてのハンドクリーム。あの感触を私は一生忘れないだろう▼健康とは当たり前のものではなく、私たちが口に入れるもの、生活習慣、ストレス解消、睡眠など、さまざまなバランスの上に成り立っている。新型コロナにおいては、無自覚のうちに自分が周囲の人の健康を脅かす可能性もある。健康は宝。今一度、気を引き締めて感染対策を。(万)
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