大分建設新聞

四方山

机からの戦争

2022年08月16日
 今年もまた終戦の日を迎えた。8月が近づくとNHKをはじめ太平洋戦争にまつわる番組が多くなる。戦後77年ともなると、80代の人も半ば以上でないと多くの記憶は残っていない。戦争を経験した人から直に伝える機会が減っていく中で、逆に戦争を知らない世代へ伝えるにはメディアを通じてしかなくなりつつある▼しかし77年後の今なお出てくる新事実に触れると、このままでは全てを後世につないでいけないのではと思うし、若者が戦争に対してどう考えているのかと心配する声もある▼10~30代の若者が保守支持だという見方があるが、それはあくまでも投票行動などを起こした者の傾向であって、30代の投票率は50%に満たず、20代に至っては40%にも満たない。政治への関心は低く全体的な考え方は掴み難い。中高年層とは違い、近隣諸国への嫌悪感が薄く、太平洋戦争や被爆国の意識が薄くなっているのが現実に近いだろう▼一方で、今まだ戦火が上がるウクライナでは、今までとは違うサイバー攻撃が繰り広げられている。それはウクライナ軍とロシア軍の単純な戦いではなく、世界中からサイバー攻撃が行われている事実を意味する。2月24日のロシアの侵攻が始まってわずか2日後、ウクライナの副首相がツイッターで呼び掛けたところ、1日も経たずに20万人以上集まったという。ロシアを「悪」と感じた世界のITエンジニアが、戦争を早く終わらせるために自分たちにも何かできないかと考え、参加している▼日本の戦争経験者や遺族にとって終戦が遠ざかっていくと危惧される中で、このサイバー攻撃に参加する日本人もいる。かつて日本が戦争の止め時を誤り、310万人もの犠牲者を出した事実を忘れてはいけない。机の上から加える攻撃が目的通り早く戦争を終わらせることを祈る。(リュウ)
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