大分建設新聞

四方山

序列

2022年08月10日
 外交官が最も頭を悩ますのが、多国間会議の座席の配置だという。中央に議長国。右から国名のアルファベット順に並べるのが基本だが、サミットなどでは在職期間も加味されるという。席次をめぐっては、外務省内でいまも語り継がれる屈辱の体験がある。1953年のエリザベス女王の戴冠式である▼皇太子殿下(現在の上皇陛下)が出席したが、旧敵国ということもあり用意されたのは末席だった。同情したサウジアラビアの王子が最前列の自席近くに招き、日本国の面目は保たれた。だが日本の外交官は沈黙した。国際的地位は低かった▼中国との緊張関係が続く台湾を訪れていた、ペロシ米下院議長が来日した。直前は韓国を訪問していた。思えば、バイデン大統領が就任後初のアジア歴訪で、いの一番の訪問先に選んだのも韓国であった。ホワイトハウスは「(訪問順序は)深く考えないでほしい」と述べたが、以前なら考えられないことである。衛藤征士郎・元衆院副議長は「日本は韓国の兄貴分」と述べたが、今の国際的な地位はどうも違うらしい▼バイデン氏は韓国のサムスン電子を訪れるなど、米韓の経済関係を重んじる姿勢を示した。それだけでない。2019年の日本人の平均年収は3万8617㌦(521万円)で、4万2285㌦の韓国に抜かれている。ちなみに米国は6万5836㌦で、日本人の年収は米国人の6割ということなる▼一方、ペロシ氏への対応も日韓で異なった。韓国の尹錫悦大統領は「夏期休暇中」を理由に、面会せず電話協議にとどめた。日本は岸田文雄首相が朝食会でもてなすなど、下にも置かない歓迎振りだった。韓国の対応は中国に配慮したとも報じられたが、従米一辺倒でないことを示した。「日本は米国の弟分」と言った方が実態に近かったかもしれぬ。(熊)
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