大分建設新聞

四方山

民主主義の危機

2022年08月08日
 日本は寛容な国になったのか、それとも鈍感な国になってしまったのか。思わず考え込んでしまった。山口県阿武町を舞台にした4630万円のコロナ給付金の誤送金事件。オンラインカジノなどに投じ、電子計算機使用詐欺罪で起訴された24歳の男のことだ▼人気ユーチューバーが救いの手を差し伸べ、保釈されるとネット番組に登場し、世間を驚かせた。身内への反省の言葉は口にしながらも、とことん苦しめたであろう、役場担当職員への謝意は伝わってこない。ユーチューバー氏も「(話題づくりで)ガッポリ稼がせてもらう」と言い切る。ホンネむき出しの時代なのか▼「一国の政治とは、国民を映し出す鏡にすぎない。(略)無知で腐敗した国民には腐りはてた政治しかありえない」。19世紀に活躍した英国人作家サミュエル・スマイルズの『自助論』の一節と。わずか3日間で閉会した臨時国会。それでも、この国の政治の現在地が見えてくる▼衆院本会議場には「パパ活」疑惑の議員が久しぶりに公の場に姿を見せた。政治家としての説明責任などは最初から眼中にないようで、ノーコメントを貫き通した。そして参院では、初当選した議員の出欠が注目された。NHK党のドバイ在住のユーチューバー議員である。「帰国すると逮捕される恐れがある」として欠席した▼参院として出席を求めると、「お前らに参議院議員にしてもらった訳でもないのに偉そーにするな」などとコメントし開き直った。N国は先の参院選で82人の候補を擁立、供託金で約3億円投じた。だが、得票数を伸ばし政党要件を満たしたことで、今後6年間で約20億円の政党交付金を手にするという。政党商売である。ユーチューバー議員の新著は「何でもアリの仕事論!」と銘打った『死なばもろとも』。民主主義が危ない。(熊)
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