大分建設新聞

四方山

変化

2022年07月14日
 自動車を工業製品から、電化製品に変えたと評される米起業家のイーロン・マスク氏。電気自動車メーカー、テスラを率いる大富豪で、その言動は何かと注目の的。先ごろも、前のめりだったはずのツイッター社の買収を唐突に撤回する発言で、世界を仰天させた。持論の「変化を恐れるな」を地で行く豹変ぶりであった▼だが、それ以上に波紋を呼んでいるのは、マスク氏がテスラ従業員に宛てたメールだ。「少なくとも週40時間オフィスにいなければ、テスラを辞めなくてはならない」。1日8時間労働ならば週に5日の出勤である。何のことはない、毎日出社しろと言っているも同然だ▼コロナ禍の影響で、世界中でリモートワークが浸透する。マスク氏はその流れに、猛然と「ノー」を唱えた格好だ。「猛烈に働くんだ。毎週80時間から100時間働くことで成功の確率を高められる」とは、経営者としてのマスク氏のモットーである。それに忠実なだけとも指摘される▼「モーレツ」「24時間戦えますか」という言葉が流行した社会が昔話になってしまった私たちにとって、マスク氏の持論に「ついていけない」と感じてしまうのも事実であろう。だが、メールにはこうも綴られていた。「こうした(週40時間出社)要求をしない企業もあるが、彼らが最後に偉大な新製品を出したのはいつか?」。そして、電話をかけるだけではイノベーションは起きない、とたたみ込む▼米グーグル社でも「出社回帰」の動きが出ている。先端を行くIT企業でこうした動きが見られるのは意外な感じもする。だが、同僚とのリアルな対面、雑談が仕事の効率につながることが明らかになってきたという。「過ちて改めざる、これを過ちという」。変化に躊躇しない姿勢をよしとするのは洋の東西を問わない。学びたい。(熊)
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP