大分建設新聞

四方山

思い出の中に流れる歌

2022年07月11日
 吉田拓郎が引退すると報道されている。私が小学校の高学年の頃にデビューし、中学生になった時には「結婚しようよ」「旅の宿」「伽草子」とヒット曲を出し、誰もがギターを手に吉田拓郎の曲を爪弾いていた▼私はどちらかというと井上陽水の方が好きだったし、地元大分が生んだ南こうせつとかぐや姫が好きだった。そして少し遅れてデビューする中島みゆきの大ファンになり、多くのミュージシャンの歌の中に若き自分の心を置いていったが、そんな私でも吉田拓郎の歌は常に聴き常に歌い、青春時代に大きな影響を受けたミュージシャンだ▼一時、病に倒れた時には心配したが、ファンの声が届いて見事に復活してホッとしていた。今回の引退の一報には「いつか来る日」が来てしまったことに心の置き場を失くした▼吉田拓郎自身が歌う歌の中にも好きな歌がたくさんあるが、ほかの歌手に提供した楽曲にも好きな歌がたくさんある。レコード大賞を受賞した森進一の「襟裳岬」をはじめ、ザ・モップスの「たどりついたらいつも雨ふり」、中村雅俊の「いつか街で会ったなら」、かまやつひろしの「我がよき友よ」、梓みちよの「メランコリー」、太田裕美の「失恋魔術師」、石野真子の「狼なんか怖くない」、キャンディーズの「やさしい悪魔」「アン・ドゥ・トロワ」など。これらの曲を聴くと、あの時、あの場面が歌とともに目の前によみがえる▼昔の歌は良かったなあ、とよく耳にするが、それは昔の歌の方が良かったからではなく、歌にはその時代の思い出が重なっているからだ。たとえば、米津玄師もあいみょんもとても素晴らしい歌だと思い聴くけれど、彼らの歌を聴いても何も思い出が無いことに気づく。古いと言われても、自分の思い出の中に流れていた歌をこれからも聴き、口ずさむ。(リュウ)
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP