大分建設新聞

四方山

隠ぺい

2022年07月05日
 今から80年前の1942(昭和17)年6月、中部太平洋で日米両軍の機動部隊が激突した。ミッドウェー海戦である。それまで無敵を誇っていた日本海軍だったが、米海軍の奇襲攻撃を前に壊滅的な損害を被った。虎の子の航空母艦4隻を一度に失い、多くのベテランパイロットを戦死させた。太平洋戦争の転換点と呼ばれるゆえんだ▼戦争指導の最高機関、大本営は事実を隠ぺいした。それどころか「敵空母2隻撃沈、味方の損失は1隻」と、虚偽の戦果を発表した。国家による欺まんの象徴として悪名の高い「大本営発表」である。以後、当たり前のように、嘘八百の戦果が報じられた。米軍による本土空襲が本格化して、国民もおかしいと気付いた。「戦果」を合算すれば、米軍の戦力は壊滅していたはずだったからである▼けれども「大本営発表」は今も続く。最近では、東日本大震災に伴う福島第1原子力発電所の事故。三つの原子炉が同時にメルトダウン(炉心溶融)を起こしたが、東電と政府は発生直後からその事実を把握しながら、3ヵ月間にわたって隠し続けた▼通信大手KDDI(au)で起きた全国規模の通信障害。1日半にわたって通話不能に陥った。実は、私も利用者の1人だ。最初の頃、何が起きているのか皆目分からなかった。念のためauのホームページを開く。「当社の通信サービスがご利用しづらい状況が発生しています」▼何回か発信すればつながるかもしれない…というような書きっぷりだが、現実にはシステムダウンが起きていた。加えて、自分たちの責任を棚上げにして、自然発生的にトラブルが起きたかのような文章だが、KDDIの設備の不具合で引き起こされた。おまけに丸1日たった後の会見。この無責任ぶりも「大本営発表」と何ら変わることはない。(熊)
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