大分建設新聞

四方山

円安

2022年06月24日
 艶然とほほえむ伝説の女優、マリリン・モンロー。シルクスクリーンで表現されたモンローの肖像画は、鮮烈な色使いもあって見る者を圧倒する。県立美術館で開催中の「現代アートの100年」展の目玉の一つ。色彩を変えただけの5つの作品が並ぶ。普通の美術作品のように「美しい」と感じるわけではない。ただ、異様な迫力が感情を揺さぶる▼現代アートの大家、アンディ・ウォーホル(1928~87)の代表作「マリリン」。難解なテーマではなく、分かりやすさを信条にポップアートと呼ばれる分野を切り開いた。ドラッグに溺れるなどスキャンダラスな生き様も注目の的だった。毒舌家でもあった。「東京で一番美しいものはマクドナルド」▼だがこうも言った。「北京にはまだ美しいものはない」。当時、中国にマクドナルドはなかった。自分の好みが美の基準だった。だが、今では同店を代表するビッグマックが各国の実体経済を推し量る基準になっている。英「エコノミスト」誌が86年から公表している「ビッグマック指数」がそれだ▼原材料が世界共通のビッグマックの価格には、各国の賃金、光熱費などが反映されている。最新データによると、ドル換算したビッグマックの値段は、スイス、ノルウエー、米国の順。一時期はトップクラスだった日本は57ヵ国中33位に低迷。中国26位、韓国27位で、日本の値段ではビッグマックを頬張ることはできない▼ひと言でいえば、日本は安い国になってしまったわけである。観光立国といっても、訪日客のお目当ては名所旧跡ではなく、量販店での買い物だ。記録的な円安が続き、歴史的更新と報じられる。ウクライナ戦争でルーブルも暴落したが持ち直した。中央銀行が優秀なのだろう。翻って……。異次元の安値とならないことを祈るばかりだ。(熊)
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