大分建設新聞

四方山

破れ穴

2022年06月17日
 先日、洗濯物を干していた際、家族の作業着に妙な穴が空いているのに気付いた。ひざ下くらいの位置に、小さな丸い穴が二つ。ひっかけて裂けたような感じではなく、何かを貫通させたような穴だった。これはどうしたのか、と尋ねると、まさかの答えが返ってきた。「犬に噛まれた」▼電気配線の工事で個人宅を訪れた時のことだ。小型の室内犬を飼っているお宅で、工事の間、犬は興奮した様子でぐるぐる走り回っていたらしい。テレビの裏に潜り込んで壁のコンセントを外していた際、足に鋭い痛みを感じた。「何だろう」と思ったが、客先で驚いた声を上げるのもためらわれ、しかもすぐに体勢を変えることもできずにバタバタしていると、もう一度足に痛みが。テレビ裏から抜け出て見てみると、先程の犬がズボンに噛り付いていた、という顛末らしい▼会社に帰ってその話をすると、すぐに病院に行くように言われ、しぶしぶ病院へ。小型犬だったこともあり、大したことない処置で済んだのだが、よもやそんな事故(事件?)が起ころうとは、会社も本人も夢にも思わなかったらしい。「災害は予測不可能」とはよく言ったもので、取材先の安全大会でも、そんな事例は聞いたことがない▼だが、作業場所の安全を確保するという意味では、家の人に「作業中は部屋に犬を入れないようにお願いする」などできる対策はあったわけで、そこは本人の反省点である。ちなみに気付いた時、客宅の犬を叱ることもできず、噛まれたと言いつけるのも恥ずかしく、本人は厳しい目でジロリと犬を睨んだだけらしい▼チクチクと裁縫で穴を塞ぐことになったわけだが、破れたのと違ってどうしても布が吊ってしまう。いっそ犬のワッペンでも付けてやろうかと思ったが、激しく拒否されたのであきらめた。(万)
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP