大分建設新聞

四方山

値上げ

2022年06月14日
 地元の人たちに愛されている「町中華」といえば、レトロ感があり、味よし、安価なうえに、ボリュームもあるというのが相場だ。時折のれんをくぐる店がある。酢豚をつまみに、コップに注いだビールの最初の一杯が至福の時。ところが先日、アレッと首をひねった。酢豚だ。タマネギ、ピーマンといった野菜の量がぐんと減っていた▼店主に聞けば、野菜が高騰し、値上げ回避の苦肉の策らしい。通年で大活躍するタマネギにいたっては一時、不作も重なって3倍に跳ね上がった。野菜だけでない。食用油、小麦粉など食材全般の値段が上がっていると嘆く。町中華の定義から「ボリューム」が消える日も近いのだろう▼物価の上昇が続く。原油高、円安に、ウクライナ戦争が暗い影を落とす。電気代、ガス代は軒並み大幅に引き上った。帝国データバンクが今月1日に発表した食品主要105社の価格動向調査によると、1~6月までに6285品目が値上げされ、7月以降も4504品目の値上げが予定されている。平均値上げ率は13%にのぼる▼値上げラッシュが家計を直撃するなかで飛び出した日銀の黒田東彦総裁の発言が波紋を広げる。「家計の値上げ許容度も高まっている」。批判に慌てて撤回したが、どの統計を見ての言葉だったのか。4月の消費者物価上昇率は前年同月比2%を超えた一方で、実質賃金は同1%超下がった▼黒田氏は気分でネクタイの色を選ぶとされる。強気の時は青系、弱気だと赤系。では、問題発言の時はどうだったのか。何とノーネクタイ。ということは、本音だったのではないか。「日刊ゲンダイ」のデジタルニュースによると、黒田氏の年収は3530万円。おまけに5年前に比べて18万円アップしている。自身の収入をベースにしての発言だと思うと合点がいく。(熊)
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