大分建設新聞

四方山

草刈り

2022年06月13日
 電車に乗って車窓を眺めていると駅の雑草が目についた。駅舎から遠い場所の雑草は特に背が高い。自然の緑は人のストレスをやわらげると言うが、雑草に覆われる風景に心は和まない▼建設業界による本年度の清掃活動のいくつかは本紙にも掲載されている通りで、まもなく土地改良施設愛護期間の活動も始まる。清掃活動にもいろいろな作業があるが、いわゆる草刈りは大きなウエイトを占める。高速道路をはじめ、道路に面した雑草は、ドライバーにとって命に関わる影響を及ぼす恐れもある。インフラや生産施設の稼働や維持のために、草刈りは外せない工程で、実際に汗を流す建設業界の皆さんには頭が下がるばかりである▼一方で、東京大学大気海洋研究所(千葉県柏市)は鹿児島県瀬戸内町古仁屋(奄美大島)を拠点とし、亜熱帯の気候と海洋環境の変動に関する研究を7月から本格的に始める。気象災害を引き起こす地球温暖化の現状や影響を調べると報じられている▼これは、温暖化の影響で雑草の成長もすでに加速していると考えられ、今後さらに草刈りの頻度や範囲、その負担が増して、従業員の高齢化、担い手不足を抱える建設業界にとって大きな影響を受けることになるという警鐘に聞こえる▼前回のコラムで紹介した同級生のK君は定年退職後、実家の広い畑を使って農業にチャレンジしているが「農業は草刈りに始まり草刈りに終わる」ことを学んだと言う。それは、畑の隅まで草刈りが終わったころには、スタート地点はもう草刈りの必要があるという事実に基づいている。負のスパイラルから脱出するために乗用の草刈り機を購入し、ほかの作物に手を入れる時間を得た。草刈りの機械化とICT化にも補助金と研修が必要な時代がきている。たかが草刈り、されど草刈りである。(リュウ)
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