大分建設新聞

四方山

相撲

2022年06月09日
 戦禍に包まれているウクライナから相撲代表チームの選手8人が宇佐市で合宿を行っている。相撲で言う「国際化」とは、日本の土俵に上がる外国人力士のことと思い込んでいただけに、競技としての相撲が世界に広がっていることを思い知らされた。しかも選手の2人は女性である。宇佐と言えば、双葉山の生誕の地。泉下の大横綱も驚いているのではあるまいか▼一説には世界の相撲競技人口は10万人とも言われている。五輪に採用されていないスポーツ競技の国際大会「ワールドゲームズ」の正式種目になっており、ウクライナの選手団も7月から米国で開かれる同大会に出場する。五輪と同様、4年に1度の大会。母国が大変な状況にある中だけに、選手たちの相撲にかける思いが伝わってくる▼相撲と言えば、15尺わずか直径4㍍55㌢の土俵の上で、体がぶつかり合う。一瞬にして勝負が決まることも珍しくない。土俵のない、大草原の上で延々と繰り広げられるモンゴル相撲とは、その点で決定的に異なり、限られた土俵の上で行われるからこそ、相撲たるゆえんなのだろう▼その土俵も江戸時代に定まった13尺(3㍍94㌢)の時代が長く続いた。昭和天皇が1931年に観覧したのを機に、現在の15尺の土俵に変わった。約60㌢も広くなったのだから、大変な騒ぎだったことだろう。実は敗戦直後の45年11月の場所だけは、1尺広い16尺(4㍍85㌢)で行われた。占領軍の横車だった▼猛然と異議を唱えたのが双葉山だった。「狭い土俵で妙技を競うのが相撲道の第一歩」という主張だった。結局、双葉山はこの場所を全休し、引退したが、背景には土俵問題があったとも言われる。とはいえ、昨今の力士の体格向上に、急激な国際競技化の流れ。土俵の拡張が再び論じられる日が訪れるかも知れない。(熊)
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