大分建設新聞

四方山

人材

2022年06月02日
 ほとんどの警察官がまじめに職務をこなしていることは、私たちは十分過ぎるほど知っている。ところが、まさか泥棒警察官が県内に現れるとは驚いた。窃盗容疑で逮捕された佐伯署の元警察官(31)である。3年前、市内の会社事務所に忍び込み現金を盗んだとされる。別の事務所にも侵入した形跡があったという▼今年4月末、自己都合で退職し、同署は「事件が発覚したのは退職後」と説明しているようだが、額面通り受け止める人はいるのだろうか。現職としてではなく、せめて「元警察官」として事件処理をしたいという意図も見え隠れする。警察官といえば、その採用の厳しさは他の業種に比べて群を抜くと聞く。治安を守るのが役割だから当然だろう。にもかかわらず、こうした不良分子が紛れ込んでしまう▼あの渋沢栄一も人材の採用には頭を悩ましたようで、こんな言葉を残している。「仁者に敵なし」。どう見分ければいいのか。家族を大切にしているかどうかがポイントだというのである。ただ、今のご時世、踏み込んで聞いただけで問題になりかねない。一人の採用は俗に数億円の投資と言われる。人材の採用とは厄介な経営問題である▼トヨタ自動車は総合職の採用に当たって社会人経験のあるキャリア採用の割合を5割に引き上げる。中日新聞5月28日付紙面によると、社員による知人の勧誘が奨励されている。かと言って、縁故採用のように即採用となるわけではなく、選考を受ける権利が取得できる。「リファラル採用」と呼ばれ、米国では主流らしい▼確かにこれなら職場のミスマッチは防げる。とはいえ、知人だらけになったら、なれ合いになってしまい活力は失われよう。トヨタが掲げた「5割」はそのあたりのことを勘案しての数値なのだろう。模範解答がないのが悩ましい。(熊)
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