大分建設新聞

四方山

卵の殻

2022年05月27日
 仕事は大雑把なくせに、意外と刺繍やお菓子作りなど、正確性の求められるものや、ちまちました細かい作業が好きだったりする。最近では、卵の殻を貼り付けてつくる「モザイクアート」を始めてしまった。料理に使った卵の殻を、せっせと洗っては乾かし、色を塗り、下絵を描いたボードにボンドで貼り付けている▼きっかけはある日に作ったプリンだった。「かさばるし、砕いて捨てよう」と取っておいた卵の殻。「何かに利用できないか」とネット検索をしてみると、水筒の洗浄に使えたり、肥料に混ぜたりと、意外に汎用性が高い。驚いたのはフリマサイトなどで商品として取引されていることだ。何に使うのかと調べ、モザイクアートの画像にたどり着いた。「これならできそう」と思ったが最後、翌日にはホームセンターでベニヤボードを選んでいた▼「また何か始めたぞ」と冷たい目で見る家族には「リサイクルだ」と胸を張る。むろん自己満足の世界であることは承知の上だが、環境に配慮した生活をしているというだけで、SDGsの波に乗っているような気がする。色塗りも、使わなくなったマニキュアなどを再利用。やり始めると止まらない性格を恨む▼産業廃棄物処理の上で義務付けられているマニフェストも、家庭では分別だけで終わる。リサイクルが推進される理由は、それによって新規製品の生産が減り、その新規製品が使用後にごみになっていた分の廃棄物量が減る効果が大きいからだ。2020年の国勢調査によると、わが国の世帯数は5583万世帯。1世帯ずつの小さな取り組みも、総数にすると力を持ってくる▼かに玉、オムレツときたので、次は何にしようかと考えていると、殻のためにメニューを選んでいるのがばれ、ため息をつかれた。今日は卵料理は止めておこう。(万)
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