大分建設新聞

四方山

振り込み

2022年05月23日
 先週日本で一番目にしたり耳にしたりした金額は4630万円だろう。振り込まれた金の使い方など、振り込まれた人の行為については触れる立場にないが、役所の落ち度があまり報じられていないこと、役所側の詳細説明も聞こえてこないことに違和感を感じる。人間だからミスをする、誰だってミスをするというが、だからこそ、ミスに出来るだけ早く気づき、リカバリーできる仕組みを作っておくことが当然の対応である▼若いころ、経理のシステム開発をした経験があるが、外部への支払いシステムは、ミスがあると先に進めない仕組みを作った。返却してもらうことも大切だけど、再発防止のために具体的な対策を直ちに準備する必要がある▼今回の件で、40年前、ある保険会社から電話がかかってきたことを思い出した。もうすぐ保険金が満期になるので手続きに伺いたいという。私に内緒で親が積み立てた保険でももらえるのかと思いワクワクした。保険会社の人に会うと、開口一番「あなたではない」と言われて、多額の保険金は夢と消えた。同姓同名である。深く陳謝されたが、この保険会社は大丈夫かと思った▼振り込みというと、2021年の特殊詐欺の認知件数が4年ぶりに増加したと警察庁がまとめている。特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして信頼させて、指定した口座へ振り込ませる犯罪の総称だ。年に1万4千件以上認知しており、1日あたりの被害額は7000万円を超える▼毎日のようにだまされて振り込む人が絶えない世の中で、自治体は高額を誤って振り込む。これで、キャッシュレスを推進するというのも不安だが、現金と通帳と印鑑の3点セットに戻ることはできない。AI技術の時代なのだから、利用者の心理を読み取った上で処理を進める技術の開発が必要だ。(リュウ)
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