大分建設新聞

四方山

「公」の意識なし

2022年05月19日
 こうして国は食い荒らされていくのだろう。現職の国会議員になりすまして新幹線のグリーン席を利用していたとして逮捕された元参院議員(79)。国会議員に交付されるJR無料パスを、落選後も事務局に返却しないまま使っていた。おまけに駅の窓口では、国会議員バッジのようなものを身につけていたという。手口はプロの詐欺師のそれである▼愛知県警の調べに「議員時代のことが忘れられなかった」と語ったという。口ぶりは保守政治家の言葉のようだが、旧社会党に所属。現職時代は庶民性が売りだったというから皮肉なものだ。よほどおいしい仕事なのだろう。金額は1回当たり数万円程度だったとしても、その原資はまごうかたなき私たちの税金である▼三権の長の衆議院議長が「月給で手取り100万円未満であるような議員を多少増やしたってバチは当たらない」と述べたという。果たして公費という意識が多少なりともあるのだろうか。そうした希薄な「公費」意識が積もり積もった結果が、先ごろ発表された国の長期債務残高1017兆1072億円という数字ではなかったか▼18年連続で過去最大を更新し、初の千兆円の大台を超えた。恐るべしなのが、500兆円を超えたのは2002年度末。わずか20年ほどで倍増した計算で、国民1人当たりの借金は800万円。「破綻」の二文字が頭をよぎるが、そうならないのは日銀が大量の国債を購入しているからにほかならない▼「異次元の金融緩和」と評されるアベノミクスも、日銀の下支えがあればこそだった。その意味では安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社」と述べたことは正しいのだろう。「返さないで借り換えていく。何回だって借り換えたって構わない」とも語った。本音では「私の子会社」と思っていたのかも。(熊)
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