大分建設新聞

四方山

マスク

2022年05月17日
 「近頃はマスクした人夢に出る」。毎日新聞に出ていた川柳に、思わず膝を打ってしまった。新型コロナウイルスの席巻が始まって早くも3年目。日常生活では口元にマスクが当たり前の時代になってしまった。愛知県の女子高生が詠んだ「マスク下いまだに知らない友の顔」は、痛々しさが漂う▼「マスク頭痛」という言葉が医師の間で頻繁に語られているという。文字通り、長時間のマスク装着が原因で引き起こされる頭痛のことだ。口元が覆われていることよりも、耳にかけているゴムが原因だ。側頭筋に負担がかかることで、緊張型の頭痛を覚える人が増えているという。マスク時代ならではの疾病である▼人気お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんが急逝した。享年61。体を張った芸で知られた。口論の揚げ句、相方と口づけをかわすギャグは大いに受けた。売り物の〝密〟なリアクション芸も、コロナ禍にあっては封印せざるを得なくなったことも影響した、とも指摘される。もう少しの我慢だったのに「聞いてないよォ~」だったのか。悲しい▼日常を取り戻す動きが進む。今年のゴールデンウィークでは、中止に追い込まれていた大型イベントが相次いで復活した。感染防止対策を取りながら、コロナと「共生」する社会に向けての模索であろう。対策の「一丁目一番地」のマスクについても、変化の兆しが出てきた▼東京都医師会が熱中症を念頭に置きつつ「距離が保たれる屋外では、マスクを外すべき」とメッセージを出した。政府の側も歩調を合わせる姿勢を示す。3度目の夏を控え「脱マスク」をめぐる議論も本格化しそう。毎度の通り都知事が持論を展開するなど、政争の材料になる気配も。とはいえ、収束が見通せない中、たがが外れたリアクションはご免こうむりたい。(熊)
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