大分建設新聞

インタビュー

吉岡 歌菜子さん(㈱盛田組)

2021年11月22日
 国土交通省と全国建設業協会など建設5団体は2014年8月「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を発表した。
 以降、官民を挙げて女性の入職・定着・活躍を加速化すべくさまざまな取り組みが行われている。
 今回は、佐伯市の㈱盛田組に中途採用で技術職として入社し、一日でも早く独り立ちして監理技術者として現場を切り盛りすることを願い、日夜奮闘する吉岡歌菜子さんを紹介する。
 家業は、佐伯市内の建築板金屋。高校進学は、何のためらいもなく鶴崎工業の建築科に進んだ。しかし、当時の求人状況は、土木建築関係に就職できた生徒は、クラスの半分にも満たず、吉岡さんもやむを得ず、県内の通信販売業者に営業職として入社した。そして普通の女子社員として10年ほど働いた後、佐伯に戻る。
 佐伯市役所建設課や国土交通省佐伯河川国道事務所で臨時職で働いた。その時、どちらの職場にも女性技術者が在籍しており、女性でもこの業界でやれると感じ、自分もできるのでは、との思いが強くなる。卒業以来追いやっていた建設業界に対するさまざまな思いが蘇ってきた。
 吉岡さんは「地元の業界関係の就職に関する情報は、土木建築系学科の生徒にあまり届いていない気がする。学校側も企業側も、生徒により多くの情報を流してほしい」と力を込める。
 以前の職場で働いていたある日、紹介で盛田組の面接を受けることになる。業界に対する憧れが強かったのか「面接時は頭の中が真っ白で、良く覚えていない」そうだ。しかし盛田浩史社長から「女性の技術者の採用は初めて。現場に出てもらうのはもちろんのこと、一緒に試行錯誤しながら頑張っていこう」と、励ましの声を掛けられ、即座に入社を決めた。
 仕事を始めて、まだ四つ目の現場。「土木の現場は、道路拡張、河床掘削、橋梁補修、構造物など、現場条件や造るものが毎回違うので、面白いと感じる」と。工事現場で丁張を掛けたり、写真を撮ったり、先輩の段取りを見たりの毎日だが「協力会社の職人さんに補修のイロハを教えてもらうなど、周りの人たちは、自分が思っていた以上に、受け入れてくれていると感じる」とうれしげに語る。
 心掛けているのは、連携を取りやすくするため現場に入る職人さんの名前をすぐに覚えること。また、その日の現場の様子や指導を受けた点などを日誌に記録すること。後で読み返すことで成長の糧にしている。
 盛田社長は「やる気と業界に対する興味を感じ取り、採用を決めた。今の時代は、施工方法や技術者の働き方などが大きく変わってきている。弊社も含めこの業界はいまだ古くさいもの、変えていくべきものが多くある。女性としての観点で新しい旋風を吹き込んで欲しい」とエールを送る。

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